家を建てるとき使える補助金・助成金
マイホーム建築は人生最大の買い物といわれるほど大きな経済的な負担がかかります。
しかし、国や自治体ではさまざまな補助金・助成金制度を設けていて、上手に活用することで建築費用を大幅に軽減できる可能性があります。
環境に配慮した住宅や子育て世帯向けの支援など、条件を満たせば数十万円から数百万円の補助が受けられるケースも。
ここでは、国や自治体のさまざまな補助金・助成金制度について詳しく紹介します。
子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業は、子育て世帯や若者夫婦世帯による省エネ性能の高い住宅の新築やリフォームを支援する制度です。
子育て世帯(18歳未満の子を有する世帯)または若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが39歳以下)が対象となり、一定の省エネ性能を満たす住宅を取得する際に補助金が支給されます。
この制度は環境に優しい住宅の普及を促進しながら、子育て・若者世帯の住宅取得を経済的に支援する目的があります。
ZEH水準の省エネ性能を有する住宅の場合、最大160万円の補助金が受けられるため、マイホーム計画中の方は早めに確認しておくことがおすすめです。
事業概要 | 子育て世帯・若者夫婦世帯による省エネ性能の高い住宅の新築取得を支援 |
---|---|
対象者 | ・子育て世帯(18歳未満の子を有する世帯) ・若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが39歳以下) |
補助額 | ・ZEH水準の住宅:40万円 ・認定長期優良住宅等(ZEH水準を満たさないもの):80万円 ・GX志向型住宅:160万円 |
補助金交付申請期間 | 2025年5月以降~2025年12月31日 |
戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業(ZEH補助金)
ZEH補助金は、住宅の年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロ以下にする「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の普及を目指す制度です。
高断熱化や高効率設備による省エネルギー化、太陽光発電などの創エネにより、エネルギー収支をゼロ以下にする住宅の新築やリフォームに対して補助金が交付されます。
ZEHは光熱費削減による経済的メリットだけでなく、快適な室内環境の実現や地球温暖化防止にも貢献。
ZEHの基準を満たす住宅を建設する場合、一戸あたり55~90万円の補助金を受けることができます。
申請は原則として建築主が行い、予算に限りがあるため早めの計画と申請が重要です。
事業概要 | 高断熱・高効率設備と再生可能エネルギーにより、 年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロ以下にする住宅の普及促進 |
---|---|
対象者 | ZEH基準を満たす戸建住宅を新築・購入する個人 |
補助額 | ・ZEH:55万円 ・ZEH+:90万円 |
給湯省エネ2025事業
給湯省エネ2025事業は、家庭のエネルギー消費の約3割を占める給湯分野の省エネ化を促進するための補助金制度です。
高効率給湯器への買い替えを支援することで、CO2排出削減と光熱費の節約を目指しています。
特に注目されているのが、大幅な省エネ効果が期待できるヒートポンプ式の「エコキュート」や「ハイブリッド給湯器」などの次世代型給湯設備です。
一般家庭では最大16万円の補助金が受けられ、賃貸住宅のオーナーや事業者も対象となります。
この制度を活用することで、初期投資の負担を軽減しながら、長期的には光熱費削減というメリットが得られるため、新築時はもちろん、既存住宅の給湯器買い替え時にも検討する価値があります。
事業概要 | 高効率給湯器への買い替え支援によるCO2排出削減と光熱費削減の促進 |
---|---|
対象設備 | ・ヒートポンプ給湯器(エコキュート) ・ハイブリッド給湯器 ・家庭用燃料電池(エネファーム)等 |
補助額 | ・エコキュート:6万円 ・ハイブリッド給湯器:8万円 ・エネファーム:16万円 ※設置工事費込みの場合は金額が異なる場合あり |
補助金交付申請期間 | 2025年4月28日~2025年12月31日 |
DR補助金
DR補助金(需要家側エネルギーリソースを活用したデマンドレスポンス推進事業費補助金)は、電力需給の安定化と省エネを同時に実現するための制度です。
家庭や事業所が所有する蓄電池や電気自動車などのエネルギーリソースを活用し、電力需給がひっ迫する時間帯の消費電力を抑制する取り組みを支援します。
特に注目されているのが、住宅用の蓄電システムや、V2H(Vehicle to Home)システムの導入に対する補助です。
これらの設備を導入することで、電力系統への負荷を軽減するとともに、災害時の非常用電源としても活用できます。
一般家庭での蓄電システム導入には最大60万円の補助金が支給され、蓄電容量や価格などの要件を満たす必要があります。
事業概要 | 蓄電システムやV2Hシステム等の導入支援による電力需給の安定化と省エネ促進 |
---|---|
対象設備 | ・家庭用蓄電システム ・V2H充放電設備 ・エネルギーマネジメントシステム |
補助額 | ・家庭用蓄電システム:定置用蓄電池の場合20~60万円 ・V2H充放電設備:上限50万円 |
東京ゼロエミ住宅
東京ゼロエミ住宅は、東京都が独自に実施している高断熱・高効率な住宅の普及促進事業です。
都内における住宅からのCO2排出量削減を目指し、高い省エネ性能と再生可能エネルギーの利用を両立した住宅の建築や購入に対して補助金を交付しています。
この制度の特徴は、国の基準よりもさらに厳しい断熱性能や設備効率を求めている点です。
認定を受けるには、UA値(外皮平均熱貫流率)や一次エネルギー消費量などの厳格な基準を満たす必要があります。
東京ゼロエミ住宅として認定された住宅には最大240万円の補助金が支給され、さらに都の固定資産税減免などの優遇措置も受けられるため、都内での住宅建築を検討している方には大きなメリットとなります。
事業概要 | 東京都独自の高断熱・高効率住宅基準に適合した「ゼロエミッション住宅」の普及促進 |
---|---|
対象者 | 東京都内で認定基準を満たす住宅を新築・購入する 個人東京都内で認定基準を満たす住宅を新築・購入する個人 |
補助額(戸建住宅) | ・水準A:240万円 ・水準B:160万円 ・水準C:40万円 |
補助額(集合住宅等) | ・水準A:200万円 ・水準B:130万円 ・水準C:30万円 |
マイホーム建築時に活用できる補助金・助成金制度は、国が実施するものだけでなく、各自治体によっても独自の支援策が設けられています。
東京ゼロエミ住宅のように地域限定の制度も多く、お住まいの自治体や建築予定地によって利用できる制度が異なります。
最新の補助金情報やお住まいの地域で活用できる助成制度については、各自治体の住宅課へ問い合わせるか、スーモカウンターなどの住宅相談窓口でプロのアドバイザーに相談するのがおすすめです。
税金控除の裏ワザ
住宅購入やローン返済に関わる税金控除は、適切に活用することで家計の負担を大きく軽減できる強力な味方です。
主な税金控除の裏ワザは、以下の通りです。
- 繰り上げ返済とのバランスを取る
- リフォーム減税との組み合わせ
- 住宅ローン控除とふるさと納税の組み合わせ
ここでは、住宅関連の税金控除を最大限に活用するための裏ワザを紹介します。
繰り上げ返済とのバランスを取る
住宅ローンの繰り上げ返済は通常、総返済額を減らす効果的な方法ですが、住宅ローン控除を受けている期間中は慎重な判断が必要です。
住宅ローン控除は残高に応じて控除額が決まるため、ローン残高を急激に減らすと控除額も減少してしまいます。
例えば、年1%の金利で借りている場合、住宅ローン控除の控除率が1%であれば、実質的な金利負担はほぼゼロに近くなります。
このような状況では、繰り上げ返済よりも別の投資や貯蓄に資金を回す方が有利な場合もあるでしょう。
ただし、控除期間終了後は積極的に繰り上げ返済を行うことで総返済額の削減効果が高まります。
最適な返済計画を立てるには、控除期間、金利の高低、自身のライフプランを総合的に考慮して判断することが重要。
控除期間の前半は最低返済額にとどめ、後半から繰り上げ返済を増やしていくといった段階的なアプローチも効果的な選択肢となります。
リフォーム減税との組み合わせ
マイホームの購入後、一定期間が経過してからリフォームを行うことで、税金面でさらなるメリットを得ることができます。
住宅ローン控除の期間終了後や控除額が減少してきた時期にリフォームを実施することで、新たな減税措置を活用できます。
例えば、住宅ローン控除が10年目で終了する予定であれば、9年目から10年目にかけて大規模なリフォームの計画を立て、リフォームローンを組むことで、リフォーム減税を最大限に活用することが可能。
特に省エネ改修やバリアフリー改修などは、特別な減税措置が設けられていることが多く、通常のリフォームよりも税制上の優遇が厚くなっています。
計画的にリフォームのタイミングを設定することにより、税負担の少ない期間を延長することができ、長期的な家計の安定につながります。
また、リフォームによって住宅の資産価値を維持・向上させる効果も期待できるため、税制面と資産管理の両面でメリットが得られる戦略です。
住宅ローン控除とふるさと納税の組み合わせ
住宅ローン控除を受けている方でも、ふるさと納税を併用することで、さらなる節税効果を得ることができます。
住宅ローン控除によって所得税が大幅に減っている場合でも、住民税は別枠で課税されるため、ふるさと納税による住民税の控除を最大限活用することが可能です。
ただし、住宅ローン控除で所得税がほぼゼロになっている場合、ふるさと納税の所得税控除分は翌年に繰り越せないため、その分は実質的な損失となる可能性があります。
そのため、事前に控除可能な上限額をシミュレーションしておくことが重要。
特に注意すべきは年収や家族構成、他の控除項目によって、最適なふるさと納税の金額は個人ごとに大きく異なるため、自分の状況に合わせた上限額を正確に把握しておく必要があります。
多くの自治体では、ふるさと納税のシミュレーションツールを提供しているので、これらを活用して自分に最適な寄付額を計算するのがおすすめです。