高齢の親の住まいは、どうすべき?どんな選択肢がある?
現在、50代の方の親世代は、多くが75歳以上の後期高齢者になり、住まいをどうするのか、どうやって暮らしていくのか心配されている方も多いのではないでしょうか。鈴木マコトさん(仮称)、ユウコさん(仮称)ご夫婦も、親はそれぞれ80代。ユウコさんの両親は近くに住んでおり、姉家族も近居のため安心ですが、マコトさんの父は離れた地域にひとり暮らし。まだ元気で車も運転していますが、そもそも車の運転が必要な地域で暮らすこと自体も悩ましく感じています。高齢の親の住まいをどうすべきか、どんな選択肢があるのかお悩みです。
目次
親が持ち家に住み続けるなら? 介護に備えた環境づくり
老いても暮らしやすい家にリフォーム
加齢で足腰が弱くなると、ちょっとした段差につまづく、浴室の床で滑って転ぶなど、家の中での怪我が増えるものです。もしも車いす生活になったら、段差が多く通路幅が狭い家では暮らせません。段差を減らす、手すりを設置する、車いすが通れるようにする、浴室の床をかえるなど、バリアフリー化することで、家の中の危険を減らし、今後に備えることが出来ます。また、高齢者の事故に多いのは、家の中の温度差によるヒートショックです。リビングは温かくても廊下や浴室が寒く、温度差が原因で倒れてしまうのを防ぐため、温度差を減らす工夫を考えるのもいいでしょう。
介護リフォームをするなら、まずここをチェック
- 介護保険や国の補助金は活用できる?
- リフォーム費用の目安を調べて予算を決める
- 必要なリフォームを家族やケアマネージャーと相談
介護リフォームを決める前に、まずは保険の加入状況や適用できるものがないか確認してみましょう。マコトさんの父はまだ元気ではあるものの、保険関係は母が管理していたため、本人もよくわかっていない状態でした。送られてくるDMから問い合わせ、ようやく把握できたところです。
親の健康状態やリフォーム内容によっては補助金もあるため、予算や補助金の確認もあわせて業者に相談するのがおすすめです。工事費用の目安を確認したら、どこまでのリフォームが必要なのか、ご家族やケアマネージャーと相談していきましょう。
二世帯住宅に建て替える
ご自宅の築年数や資産状況によっては、親の住まいを二世帯住宅に建て替えるという選択肢もあります。玄関も別の完全分離型、階で分かれて暮らすなどの共用型で暮らし方は異なるため、土地の広さはもちろん、親との関係性や介護の必要性もふまえて考えることや、事前の話し合いも大切です。その際、建て替えの費用はどうするのか、将来的に資産をどうするのかも、あわせて検討しておくといいでしょう。
親の住まいはいつ売却すべきか?
マコトさんの父親がひとり暮らしを続けるのは、母と暮らした家を離れたくない、友人もいる地域を離れたくないのはもちろん、マコトさんやユウコさんに迷惑をかけたくないとも話しています。今の家に住み続けたい父の気持ちもわかるものの、一人にしておくのも心配で、どうするのが最善かマコトさんは頭を悩ませているところです。
財産を信頼できる家族や第三者に託す「家族信託」
すぐに売却や相続などを決めるのが難しい場合は、「家族信託」という、家族や信頼できる第三者が親の住まいについて任される手段もあります。もしも認知症になったり施設への入居が決まったりした時、任された人物が売却などの手続きを進められるので安心です。亡くなってから相続や売却をするのとは異なり、親の長期入院や介護施設に入居する際の費用を、家族が物件を売却することでねん出できる点も魅力でしょう。
親の住まいをリースバックにする
マコトさんの父親は離れて暮らしているため、もしも亡くなった場合にマコトさんたちが移り住むことはありません。まだ父が元気なうちに売却を決め、でも同じ家に住み続けられる、リースバックという手段も考えられます。
そもそもリースバックとは?
持ち家を売却して、改めて自宅の賃貸契約を結び、賃貸として同じ家に住み続ける方法です。家を売ることになるので、まとまったお金を得られて、老後資金や医療費に充てられるのが特徴です。メリット、デメリットは次のような感じです。
メリット → まとまった資金が手に入る、引っ越し不要、資産を現金化できる
デメリット → 家賃が発生する、売却価格が市場より低めになることも
リースバックはどんな人に向いている?
- 「家は手放したくないが、資金が必要」
- 「子世帯に家を相続する予定がなく、柔軟な選択肢を持ちたい」
リースバックで注意したいのは、賃貸暮らしになることです。売却により一時はまとまったお金が手に入りますが、かわりに家賃が発生するため、期間が長くなると家賃が払えなくなり、退去になってしまうかもしれれません。そのため、リースバックを選択するタイミングも重要です。マコトさんの父親は80代とはいえ、まだ元気で外出も多い様子。賃貸期間が長くなる可能性もあるため、リースバックはデメリットの方が大きいかもしれません。
どの選択肢が最適か?しっかりと考えてから決断を
- 親の健康状態と自分たちの今後のライフプラン
- 経済的な面(年金や貯蓄、保険、売却益などを考慮)
- 親との話し合い(親の気持ちや考えを確認)
高齢の親が持ち家に住んでいる場合、いずれは自分たちが相続するか売却するかなど、考えていく必要があります。マコトさんの父親の場合は必要なリフォームをしてひとり暮らしを続けるのがいいかもしれませんが、介護リフォームは早ければいいというものでもありません。例えば、まだ足腰がしっかりしているうちから段差をなくす、手すりをつけると、かえって他の場所でつまづきやすくなったり、手すりに頼り過ぎたりしてしまいます。人生100年時代、ウェルビーイングを出来る限り長く実現するためには、住まいの維持・管理も健康維持も大切です。
ご家族や専門家と相談しながら、親世帯が出来るだけ健やかに、安全に生活し続けられるよう、計画的に考えていきましょう!
執筆:ライター Y